金融機関での40年と新たな1年
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#07 寒い季節のおすすめ二つ
こちらは2024年12月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。
温暖化が進んでいると云えども、この国では1月・2月が最も寒いことは変わりない。そんな季節にお薦めを二つほど。
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音楽と飲み物はセットで
先ずはCD(あるいはLP)、『チェット・ベイカー・シングス』チェット・ベイカーを。
1950年代を中心に活躍したジャズ・トランペット奏者、1956年発表のアルバム。本作ではコンボ形式(小編成によるジャズ・バンド)によるトランペットの演奏とつぶやくようなヴォーカルが聴ける。歌声は、暖炉の小さな焔のように暖かく、冬になるとこれを聴きたくなる。ジャケットに写るレコーディング中の横顔はイケメンだ。歌声と相俟ってさぞかしモテたであろう事は想像に難くない。
スタンダードナンバー、映画の主題歌、ミュージカル歌曲「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」など14曲、どれも小曲ながら沁みるメロディ、そこにリリカルなトランペットと、甘くソフトなヴォーカルが心地良い。
年末年始、一日の仕事を終えようやく家にたどり着く。ほっと一息、食後熱々のホットココア、もしくはホットウィスキーと共に楽しんで頂きたい。
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頭の運動にこの一冊
二つ目は、2024年8月に刊行された、『経験バイアス』エムレ・ソイヤー、ロビン・M・ホガース著、今西康子訳、白揚社。副題は「ときに経験は意思決定の敵となる」。
どういう事だ?例えば、我々は月曜日の朝、部長の表情から危険を察知する。「今日の部長は機嫌が悪い。ミーティングの発言には、いつも以上に気を付けよう。」これは、日々の経験からの判断だ。無視すれば朝から地雷を踏むことになる。巷にある求人広告を見ても、「経験ある方尚可」とか「加算給あり」など、経験がマイナス要因になるものは見当たらない。
本書では、「経験」とはプロセスであり、何かを見聞きしたり、参加したりすることが時とともに蓄積されたもの、としている。ルールがほとんど変わらない環境(家庭生活・スポーツ等)では、経験から得た判断は大抵信用できる。これらは人生の教師となり、生き抜く自信を与えてくれる。しかし、医療、科学技術、ビジネスといった絶えず変化・進歩する分野にあっては、必ずしも経験は当てにならないことを、また我々が陥りやすい「経験の罠」について、事例を引用しながら教えてくれる。
他にも、アイデアを生み出す独創性(オリジナリティ)を重視するあまり、それを実現するためのプロセスで発生する諸問題までを、既存の創造性(クリエイティビティ)を排除し、自らの独創性だけで解決しようとする誤謬について述べている。確かに「ビートルズ」は、レコードやラジオやロックンロールを発明した訳ではなく、エジソンやチャック・ベリーという巨人の肩に乗ることにより、世界中の人々に自分たちの音楽を届けることが出来た。
「経験」というものについて、なるほどと納得あるいは再認識させてくれる一冊。寒風が身に沁み、とかく外歩きが億劫になるこの季節、あたまの柔軟体操にお薦めです。
では、よいお年をお迎えください。
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松永一九(ペンネーム)
昭和30年代生まれ、地域金融機関に就職。40年近く勤めた後、いわゆる「会社人」とは異なった目線で世の中を見たい、かかわりを持ちたい、との思いから心機一転、退職して会社人ではない社会人一年生を始める。
The Rolling Stones「It’s Only Rock ‘n Roll」、Donald Fagen「The Nightfly」が愛聴盤



