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熱対策とは?

熱に起因するトラブルを予防することです。そのために、熱の流れを熱の発生から順に整理し、問題点を洗い出し、その問題点を解決していく事です。

熱の発生源

まず、熱の発生源に注目します。熱の発生を押さえることが出来ないかを考慮してください。電子回路などの損失をなくす事から始めるのです。回路設計の時、熱の発生部を出来るだけ熱の出口に近づけるようにすることも考慮に入れます。損失を少なくする回路を設計することは、発熱の少ない回路を設計することになり、消費電力や部品点数が少なくなることも少なくありません。また、放熱系が小さくなることで、重量にも、大きさにも貢献することになり、時流に沿った設計といえます。

熱の伝搬

次に発生してしまう熱をほかの場所に伝搬することを考えます。一般的には、周囲の空気を取り入れ、装置の中を通り、空気に熱を与えて、装置から外へ出してしまう、その分装置が熱を奪われると言うことをするわけです。何処を通して何処へ排出するかが大切なのです。このことを発熱部から見ると、発熱部は、電力を受け、仕事をする反面その仕事をするために消費した電力が熱に変わる事が発熱です。この発熱は、その発熱部を覆った部材(半導体のケースなど)から、伝搬物を通り、放熱器に伝搬し、放熱器の周囲を通る空気を暖める。そして、その空気が装置の外に出ることで放熱したことになるわけです。

熱流解析ソフトウェア

熱流解析ソフトウエアには、大きく分けて2つの種類があるようです。1つは、機械的な設計図2次元または、3次元的に入力して解析するもので仮に機械設計タイプといいましょう、そして、もう一つはフロー(流れ)を川の流れのように部分部分の特徴を入力して熱流モデリングを行う。こちらはフロー設計タイプとしましょう。最初のタイプは、設計が終わってからでないと検討することが難しいのですが、設計図通りですので、視覚的にわかりやすいのが特徴です。しかし、詳細に入力するので、入力に時間がかかります。次のフロー設計タイプは、実際の形状と入力する形状が違うので、慣れは必要ですが、入力は少なくてすみ、計算は、機械設計タイプよりずいぶん速くできます。

熱流解析ソフトウェアを使わない場合

精密に計算する方法ももちろんありますが、大ざっぱに、目安を付ける程度で計算するのが、実際的だと思います。しかし、大ざっぱな計算しかしないで、最終設計に持ち込む場合は、エイヤーと度胸でするか、多めの余裕を必要とします。余裕設計は、安全性や信頼性には貢献しますが、軽薄短小設計には、むろん適しません。装置の大きさに余裕がある場合は、大ざっぱな計算でよい場合も多数あります。

放熱と冷却

放熱は、冷却の一つの方法、手段で、特に、高温側から低温側に熱が自然に流れることを利用した冷却です。水冷は、水を媒体にした放熱を示します。そして、空冷は、空気を媒体にした放熱となるのです。水冷には、循環式と蒸発式があり、循環式のものは、循環するためのポンプと放熱するためのラジエターなどが必要になります。蒸発式は、気化熱で冷やす方式です。熱の自然流だけを利用したものではない冷却は、冷媒と圧縮機を利用した冷凍機方式とペルチェ効果を利用したサーモモジュールによる電子冷却方式があります。冷媒にアンモニアを用いた吸収式も一部では使用されていますが、電子機器に使用した例は無いようです。

冷凍機式放熱

一般の冷蔵庫やエアコンに使われている方式で、以前はほとんどがフロンを使用していましたが、地球環境問題で最近は代替フロンに移行しました。原理は、冷媒の気体を圧縮し液体にするとその冷媒から熱が発生し、逆に液体から気体に変化したときに熱を吸収する効果を利用したもので、圧縮機(コンプレッサー)、凝縮器(コンデンサー)、蒸発器(エバポレーター)そして、膨張弁から成り、おのおのが配管で結合されていて、その中に、一定量の冷媒が封入されている構造です。この方式は、効率がよいのが特徴で、大容量まで対応します。構成部品が配管ですので、振動や衝撃に弱い事があり、冷媒が漏れてしまうことがある事と、一般的にはON/OFF制御となるため、温度精度が比較的よくないこと、ある程度以上に小さくできないことです。

電子冷却方式

この方式は、電気的物理効果のペルチェ効果を利用したもので、その効果とは、異種金属を接合し、その両端に電圧をかけると接合部が、加熱、又は吸熱(冷却)する事で、実際には、ビスマスとテルルを主材料とした合金で作った半導体を使用します。特徴は、完全に電子式ですので、コントロールが簡単に出来ることと、小さく作ることが可能で、手のひらに軽く乗る冷却器を作ることが出来ます。しかし、冷凍機式と比べると効率が悪く、大容量には不向きです。

放熱器の種類

放熱には、直接放熱と間接放熱があり、直接放熱は、トランジスタ、IC、LSIなどに直接取り付けるヒートシンクを用いた方法で、間接放熱は、制御盤などに取り付け、放熱器の両側(表面と裏面)に風をながし、熱を筐体外に放出する方法です。

直接放熱用放熱器の種類

形状により、平行平板フィン型、ピンフィン型、放射状型に分けられます。製造方法により、押し出し式、圧入式、接合式、積層式、冷間鍛造もしくは熱間鍛造で作った鍛造式、主にダイカストの鋳造式があります。効率は、ピンフィン型が平行平板型より高く、ファンを直接取り付けた場合は、放射型が最も高くなります。


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