働く喜びを増やす
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#01 社員に「この会社で働けて幸せ」と思ってもらうために…
こちらは2023年5月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。
はじめまして。名古屋で経営コンサルタント/研修講師をしております宇井克己(うい かつみ)と申します。
(株)ナレッジ・プラクティス・コンサルティングの社長という立場でもあります。
ただ、皆さんのようなしっかりとした会社ではなく、個人事業主に毛が生えた、いや、毛も生えていないような会社でして、社長としてしっかりと会社のマネジメントを行っているかと言えば、全然そんなことはありません。 社長と言いつつ、中小企業さんを中心に経営目標・経営課題達成支援、営業支援を行ったり、企業規模問わず、人材育成の仕組みづくりのお手伝いや研修講師を行ったりしております。
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「働くことの喜び」とは
『経営者も社員さんも働くことに喜びと幸せを感じられる、そんな組織作りを支援すること』が弊社の使命であると捉え、尽力しております。
平たく言うと『家族団欒の場で、会社であった嬉しかったこと、楽しかったことを子供に語れるような社員さんで溢れる会社づくり』を支援したいと考えております。
ですので、
- 会社としてとにかく出したい成果(売上・利益)を出したい!
- 社員の定着率を高めたい。
- もっと社員に頑張って働いてほしい!結果を出してほしい!もっと成長してほしい!
- それぞれの部署で出すべき成果を出し続けてほしい!
- 社員教育として地元の商工会・商工会議所などの講座に参加させているが、一過性の教育になっていて、長期的視点での社員教育ができていない!
というような課題・問題をお持ちの企業の方からはお話を伺ったうえで、お手伝いできることがあると思います。
これから10回にわたり、日本ブロアー様のメルマガに寄稿させていただきます。お役に立てる情報をお届けしていきます。ぜひぜひ、お付き合いください。
私と日本ブロアーの金子社長とのお付き合いは、中小企業大学校瀬戸校で私が講師を努めた「ファシリテーション講座」に、金子社長がご参加いただいたのがきっかけです。そのご縁で今回のメルマガ寄稿の機会を頂きました。
本当に「運」とは人との出会いだなぁと感じています。誰に会うか、誰とお付き合いできるかで人生は変わってきます。そういう意味で、私は本当に「運」が良いと改めて感じております。金子社長とのご縁をいただき、こうしてメルマガを書かせていただけているわけですから。
さて、本題に入る前に、少しだけ私の自己紹介をさせてください。私、宇井は今年で58歳になります。1965年(昭和40年)生まれです。プライベートのお話を少しさせていただくと、趣味は、音楽活動(バンド活動)でして、こう見えても、ボーカルを担当しておりまして…。バンドではジャンルをあまり問わず、演奏しています。が、メインはハードロックです。その他、健康のためにジョギングをしたり、ここ数年行けていませんが、沖縄でダイビングをするのが好きだったりします。
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「組織風土」を良好にする取り組み
すみません、前置きが長くなりました。第1回目の本題に入っていきましょう。
御社の組織風土はどのようなものでしょうか?
組織風土を良好にするためにどのような取り組みをされていらっしゃいますか?
第1回目のテーマは、組織風土に関することです。組織風土は組織の成果にものすごく影響を与えます。
しかし、「組織風土」というとなかなか掴みどころのないものですし、掴みどころがないゆえに、どこをどうしたらいいのか手を打ちにくいものだったりします。ましてや組織風土をよくするためにお金を掛けようとする経営者は少なかったりします。
今回は、良好な組織風土とは、『8割以上の社員さんが“この会社・この組織で働けていることに幸せを感じ、働くことそのものに喜びを感じている”状態』、このように定義して考えてみたいと思います。
そのためには何が必要でしょう?私は、こう考えています。
「自分の考えたことや自分のアイデアを周りに伝えられ、その発想・アイデアを仲間と一緒に具現化する」
まず、これができると社員さんは「働くことに幸せ」を感じられます。そして、その具現化されたことで、誰か(特に“お客様”)が喜んでくれているのが分かり、成果(例えば売上や利益)につながったことが分かると、それが「働く喜び」に繋がります。
流れとしては、以下のようです。
こうなると幸せを感じ、喜びを感じられるのです。(①・②が幸せ、③・④が喜び)
しかし、この流れにおいて一つ忘れてはいけない概念があります。
それは、「自由である」ということ。
どれだけ自分のアイデアを出せていても、それが他者からの強制であっては幸せではありません。どれだけ仲間と具現化していても、それが制度で強制されたものでは幸せは感じにくいのです。
「改善のアイデアを毎月必ず1つ以上出しなさい」と言われた瞬間から、自由ではなくなると言っても過言ではありません。強制されて出したアイデアを強制されて具現化したところで、お客様や周りの人が喜んでくれていれば、働く喜びは感じるかもしれません。しかし、幸せかというとそうではないはずです。
「自由に自分の考えていることが周りに伝えられ、自由にその考えたことを具現化できる」、これが幸せに働けていることだと思うのです。「自由であること」、これが重要なキーワード。
ちなみに、自由であることに幸せを感じるのは、会社組織だけではなく、一般社会でも同じですよね。独裁国家の国民が幸せかと言えばどうなんでしょう。やはり、自由であることこそが人間が求める本来の姿なのではないかと思うのです。人間が本来求める姿が会社組織の中でも体現できれば幸せなはず。
会社組織でも一般社会でも、「これをしろ、あれをしろ、これをしてはダメ、あれをしてはダメ」と自由が拘束されてしまうと幸せ感は減少していきます。
もちろん、なんでもかんでも「自由」にできないのは、会社でも社会でも一緒です。会社組織の中で言えば、各社員に与えられた「責任と権限」の範疇において、自由に発想でき、自由に行動できる、これが幸せを感じられる第一歩だろうと思います。
だいたい、離職率が高い会社は、社員が自由に発言できない、上司もしくは社長が強権的で、社員の発言に対しては、何を言っても否定的で、社員の自由がないという傾向があります。
自由に考えたことを仲間と具現化し、人を喜ばせ、成果を出す、これによって仕事の喜びと幸せを感じることができるのです。
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実は「自由に考えること」は難しい
しかし、しかしです、ここから大事な話。
「じゃあ、とにかく社員に自由に考えさせればいいんですね」となってしまうと、これがなかなか厄介なわけです。事実、考えることが難しい社員もいます。そこが理屈ではうまくいくはずなんだけど、現実はなかなかうまくいかない点だったりします。先ほどの幸せを感じ、喜びを感じる、あの流れを全社員に一度に実現するのは難しい、というか無理、というか、やってはいけません。
順番としては、社員さんに自由に発想させて、行動させる前に、成果を出させて、仕事の喜びを感じさせる。そのうえで幸せを感じさせるようにする。この方が現実的です。
幸せを感じるためのキーワードである「自由」はいったん、横において、成果が出る行動を強制的にでもやらせること。これを最初のステップにした方がより現実的であると考えています。
そして、社員の成長に沿って、その強制度合を徐々に緩めていく。
例えば、営業担当者に対し、強制(指示)レベルの高いところで行動を促すとしたら、こうなります。
- 上司:「既存の客先A社への拡販を目指そう。今年度末までにはA社から新規案件を取れるようにしよう。他の会社ではなくA社を狙う理由は、A社の新規事業に我々の強みである ○○の技術が対応できるから。目標は、新規事業の案件として2件以上、売上額は○円以上としよう。そのために、まずは、A社の生産技術部 ●●さんから新規事業に関して、次の3つの情報を入手していこう。その情報を取るためには、●●さんにこちらか △△の情報を提供するといいかな。その準備としては、△△の過去データがあるんで、それを趨勢の分かる形で折れ線グラフにしておこう。アポイントを取る際には、□□に気を付けて!」
強制(指示レベル)は相当高い。でも、とにかく社員に成果を出してもらう、すなわち仕事の喜びを感じてもらうことを優先させる。 そのあと、社員の成長に合わせて、この強制(指示)レベルを緩めていく。「自由レベル」を高めていく。
- 上司:「既存の客先A社への拡販を目指そう。今年度末までには新規案件を取れるようにしよう。他の会社ではなくA社を狙う理由は、A社の新規事業に我々の強みである○○の技術が対応できるから。目標はどうする?その目標を実現するためには、どうしたらいいか、一度考えてみてよ」
もっと強制(指示)レベルを緩め、自由レベルを高めるとしたら
- 上司:「既存顧客への拡販を目指そう。ターゲットをどこにするか、そのターゲットに対してどうするか、方策も含めて○○さんの責任と権限の範疇で考えてみてよ」
更には、こうなります。
- 上司:「成果を上げるために、どうしたらいいか、会社方針・部門方針に則り考えてみて」
お伝えしたいのは、社員の幸せをいきなり実現しようとするのではなく、自由の範囲は狭くしてでも、成果を出すことを優先させるということ。成果につながれば、それはやはり嬉しく、喜びなのです。成果が出れば、仕事は楽しくなります。
まずはとにかく社員に出すべき成果を明確にし、そのための指導をする。
それで成果を出させて仕事の喜びを感じさせる。
成長レベルに合わせて、徐々に自由に発想できる範囲を広げていく。
こんな感じです。
が、一つネックがあるとしたら、管理者が成果につながる指導をできるかどうかです。「管理者の問題解決力」が大きくかかわってきます。
管理者の「問題解決力(部下への問題解決支援力)」が低いとなかなか社員(部下)の成果を出させられません。
ここは、やはり管理者の問題解決力(問題解決支援力)を高めるための管理者教育は必要だと思います。
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最後に
最後に一つ衝撃的なことをお伝えすると、問題解決って自己流でやると9割がた間違えます。私が関与した企業さんの範疇ではありますが…。私自身が自己流でやっていた時はやっぱり間違えてやっていました。だからこそ、なかなか成果につなげられませんでした。
正しい問題解決の仕方を身につけること、成果を出すためには、これがものすごく大事。このあたりはおいおい10回の中でお話をしていきたいと思います。
待ちきれない方は、弊社までお問い合わせください。
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株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント宇井 克己
製造業・コンサルティング会社を経て2002年に独立。『経営者も社員も働くことに喜びと幸せを感じられる組織作りを支援すること』を使命とし、コーチングやファシリテーション、正しい問題解決手法を駆使して「考える社員、考える組織」&「高業績企業」を多数輩出。年間の研修・講演回数は150回以上。



